FP&A/業績管理の基本 第6回: 月次トレンド

FP&A

営業部門に所属していれば、毎日、毎月売上の実績をウォッチしていることと思います。

経営管理レポートを作成していると、当月実績と累計実績の予算比、前年比をみることになりますが、状況を把握する上で、月次トレンド分析も欠かせません。

実際にFP&A関連の業務に携わる中で同僚や部下と話していると、意外に月次トレンドを確認できていないことがあります。もし毎月の定型レポートには含まれていなくても、分析の視点として重要ですので、必ずチェックする習慣をつけたいものです。

作成すべきレポートはシンプル

月次分析レポートは基本的にシンプルな構成で、実績を月毎に横並びにするだけです。

各月の実績に対して、前年比や予算比を見せたいと思うかもしれませんが、表が見づらくなるのであまり推奨していません。予算、実績、予算比、前年比、などなど指標ごとに全て月別(1年ならば12列)の表を作るのが経験的には見やすいように感じます。

以下、表のイメージを添付しておきます。

平均と移動平均

トレンドを分析する際、とりわけ月次推移の分析などでは、移動平均の推移という観点もあるでしょう。

単純に平均をとると当年度はおおむね毎月どの程度の実績になっているかということがつかめるわけですが、それでは毎月実績が上下に大きく振れていたり、徐々に増加あるいは減少している状況を表現してくれません。

もちろんグラフなどで図示すればそれなりにつかめるという面もありますが、数表で見るならば過去12か月の平均を毎月取ることにより、全体的にどのような動きになっているかとらえることができるでしょう。

特殊要因の把握

現在進行形で極端に成長しているビジネス、あるいは衰退していくビジネスの場合は別ですが、一般的に毎月ある程度の幅に実績は落ち着いてくるものと想定されます。

そのような場合、平均的なトレンドに対して、どのような特殊要因があるかを把握することが大切です。

例えばある組織の経費実績を毎月並べてみると、毎月平均的でほとんどぶれないにもかかわらず、ある月だけ大きくなっている場合。実はその月は特別なイベントが開催されるという特殊要因があって、ピンポイントで高くなっているかもしれません。このような要素を捉えることが経営管理上とても大切です。

季節変動と前年比

もう一つ特殊要因に類似しますが、季節性がある場合があります。

身近な例でいうと、衣類はそれぞれの季節に合わせて売上が変動するものと思います。例えば夏にセーターやコートはほとんど売れないでしょう。

とても当たり前ではあるのですが、月次変動のトレンドを見る差異には忘れてはならない要素の一つですね。

見える化:ビジュアライズでトレンド把握

FP&Aなどで経営管理をしていると、数表を見るのに慣れていて、数表だけでも感覚的につかめるようになってきます。

とはいえレポートを分析する場合は、数表を見るセンスによることなく、多くの人が共通認識に立てるようなものになっていることが望ましいですね。

ダッシュボードもその一つですが、何らかのビジュアライズによりレポートを読む人の理解を支援することは検討に値すると思います。

グラフを作成するのもよいですが、まずはエクセルの機能を使って簡易なビジュアライズをするのも一案です。

例えばデータ領域を選び、条件付き書式でデーターバーを選択すると、以下のようなイメージになり、単なる数字の羅列に比べるとイメージがつかみやすくなります。(以下サンプルは数字が似通っているために効果が薄いように見えますが…。)

また、もうひとつの例としては、エクセルの挿入メニューからスパークラインを選択すると、以下のような形で小さなグラフのような表示をすることができます。各項目のトレンドをつかむには良い手段の一つになるでしょう。

以上、月次トレンドに関連していくつか大切なポイントを列挙してきましたが、月次推移分析はまだまだ奥が深いように思います。実務視点からもう少し深堀しておきたいトピックだと改めて認識しました。

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