子供のころは、毎年身体測定をされていたのではないかと思います。昨年から身長が何センチ伸びたか、体重が何キロ増えたか?
業績も同じこと。大袈裟な話ではなく、まずは気楽に去年とくらべて何が言えるか考えてみようというのが「前年比」ですね。
「今年の業績どうですか?」と聞かれたときも、まず昨年からどのくらい増えたか、減ったかで答えるとイメージがつきやすく、とても分かりやすいと思います。
見るのは差額と増減比率
業績管理は基本四則演算、難しい計算や関数は必要ありません。差異分析は引き算です。今年の数値から、昨年の数値をマイナスすると、前年からの増加/減少分を計算することができます。
もう一つは割り算です。今年の数値を、昨年の数値で割ると成長率(YoY: Year over Year)となります。こちらは比率になりますので、前年比110%、あるいは前年比+10%と説明されることが多いものと思います。
前年差の前年差
前年差(差額と比率)は、まずは今年の実績が昨年と比較してどうだっかということが最初になりますが、昨年は一昨年と比べてどうだったか、というのも前年比。そしてその前年比がどのように移り変わっているのか、ということも大切な視点の一つになります。
たとえば、今年は前年比+10%。業績は成長は好ましいですね。でも、一方昨年は前年比+40%だったらどうでしょう?成長が鈍化しているように見えます。これは社外の投資家などからみるとネガティブに見えるかもしれません。
前年比の移り変わり
同じことは一昨年にも言えます。ある程度長いスパンで前年からの成長を見ていくことはが大切だといえます。
先ほどの例で今年は前年比+10%、昨年は+40%としていましたが、その前の年、一昨年の前年比が-15%だったとするとどうでしょうか?
この場合は、昨年に比べて成長鈍化という側面のほかに、ビジネス環境など、何かしら毎年の変動要素があるのかもしれません。
類似するところで平均成長率という視点もありますが、こちらはまた別の記事にできればと思います。
同業他社の前年比
さらに別の視点。今年自社では前年比50%の成長を遂げたとしましょう。でも同業他社が80%で成長しているとするとどうでしょうか?市場の成長に対して競り負けているということになるかもしれませんね。
前年比に限らず、同業他社との比較は大切です。実務的には自社のレポートを作成するところまでで余裕がなくて他社分析まで行えない場合もあるかと思いますが、ぜひ自社のルーチン業績分析として取り入れておきたいですね。
ちなみに売り上げの場合、業界平均の前年比よりも自社の成長率が高ければシェアが増えており、低ければシェアがダウンしているということになります。
実務:前年比+10,000%の取り扱い
レポート作成の際、エクセルで前年比の計算式を使っていると、極端に大きな比率が生じるケースがあります。主に、もともとの金額が小さい場合など、大したインパクトがないところで発生しやすいと思います。
例えば、昨年は1, 500円使った費用項目で、今年は何らかの理由で3百万円使ったとしましょう。計算上は前年比2,000%になります。でも経営や業績勘定はそこまで意味のあることではないかもしれません。
そんな場合は条件を決め、一定の枠を超える場合は計算しないようにエクセルの関数を設定するとともに、その条件などについて表の注釈をつけるようにしましょう。
単純に前年と比較するといってもさまざまな視点がありますね。様々な視点を意識しながら前年比を分析していきたいですね。