50歳からは「これ」しかやらない
1万人に聞いてわかった「会社人生」の上手な終わらせ方
大塚 寿
40代までとはアプローチが全く異なる50代
各年齢層をターゲットにした所謂ビジネス書は数多く存在していますね。
私も例にもれず20代、30代、40代とそれぞれの時期に、「xx代の生き方」とか「xx代の仕事術」みたいな本を読んできました。
ちょっとしたビタミン剤とか栄養ドリンクみたいなもので、読んだことによる満足感が一番の目的かもしれないと思っているにも関わらず、ついつい手にとってしまう。年齢別の自己啓発書は、いいビジネスなのかもしれません。
さて、50代。50代は少し雰囲気が違っていました。
20代は30代、30代は40代、40代は50代と、次のステージを目指して前向きに進むことを前提にしています。しかし50代になると会社人生はゴールを迎え、次のステージは退職後のことになってきます。これまでとはかなり位置づけが異なってくるわけです。
定年後に向けた準備期間の過ごし方:「やりたいこと」にシフト
本書は数多く出版されている50代の生き方、仕事の仕方、といった書籍のひとつで、たまたま手に取ったものですが、個人的に学ぶところが多かったように思います。
自身も50代を迎え、会社の中で残り期間10年どう過ごすのか、というところで、最近”そこはかとない”不安感や焦りを感じるようになっていました。本書ではこの焦りを「迷い」と説いています。つまり、ちょうど学生から社会人になるときと同様に、無限の選択肢がある状況に直面しており、そのために迷いや焦りが生じるというのです。
そして迷いや焦りを取り払うために「これしかやらない」と決める。長い会社人生でしみついてきた「会社人間」である必要もなく、「やりたいこと」を明確にして、そちらにシフトしていくことが大切になるということ。私自身も、この方向性を示されたことで、もやもやとした不安感から霧が晴れたように解消された気がします。
いい会社人生を終わらせ、よき定年後を考える良い機会に
本書は、50代を迎えて直面する焦りや不安を解消し、いかに良い形で会社人生を終わらせるのがよいか様々なアイデアを教えてくれます。
「会社から人生の主導権を取り戻す」、「やりたくないことは手放し、苦手でないことをやる」、「何を手放すか考える」といった取るべきスタンスや、「自分の仕事を総仕上げする」といった取り組みなどは自分でも取り入れたい項目であると実感しました。
そのほか、人脈や転職、人間関係なども含めて、様々な視点から「50代にやっておくべきこと」が記されています。それぞれ共感できるところ、そうでないところがあるかもしれませんが、全体としては20年以上のサラリーマン生活から発想を転換するという意味で、「目から鱗」、いろいろ考えるきっかけを与えてくれる書籍だと思います。
ところで、同じ著者で40代向けの書籍は、「できる40代は、「これ」しかやらない」というタイトル。やるべきことを絞り込んでフォーカスをあてるということ自体は、年齢にかかわらず重要なことだということですね。50代になってそのことに気付いているようでは遅いのでしょうね。