評価基準:ビジネスマンなら自分で自分の実力を測りたい
評価に関してはこの一冊。「人事の超プロが明かす評価基準」(西尾 太著、三笠書房)です。
私自身もともと人事が専門ではないこともあり、人事関連の蔵書は多くないのですが、なかなか成長してくれない部下(リーダー格)をどうやって指導するのか考えているときに本屋でこの本に出会い、購入しました。
230ページとそこまで分厚くない本ですので、ぱっと見た目は軽いビジネス書なのではないかと思ってしまいますが、コンパクトな中にも人事評価やキャリアアップのエッセンスがしっかりと詰まった一冊です。
本書は、あらゆる企業に潜在的に存在する、絶対的な「評価基準」を、具体的かつ徹底的に詳しく解説するこれまでに例のない人事評価のバイブルです。
西尾 太 ”人事の超プロが明かす評価基準” (三笠書房、2015)
この本と出合ってからは、新しくリーダーに就任したメンバーを中心に、この本を読んでもらい、自分自身の自己評価と、部下の評価および能力開発に役立ててもらうように活用しています。
45項目の評価基準の項目(コンピテンシー)
本書の最もコアな部分のひとつは、第4章にある”絶対的、評価基準「45のコンピテンシー」”です。ビジネスで成果を挙げるために不可欠な行動(コンピテンシー)45項目について、社内でのポジション(新人~チーフ~課長~部長~役員)別にクラス分けし、それぞれに「OKな行動」、「NGな行動」、推奨行動がまとめられています。
この45のコンピテンシーはとても有用で、部下に対しては、それぞれの役職とコンピテンシーの関係を突き合わせながら、どのようにあるべきか、どう改善すべきか、というガイダンスを与えてくれます。優秀な部下なら自分で理解するでしょうし、そうでなければ指導の材料として使うとよいでしょう。
自己評価にも良いガイダンスに
この本の活用として、もう一つおすすめしたいのは自己評価です。
日常業務に追われて日々忙しく働いていると、どうしても自分自身がどの程度のパフォーマンスを出せるのかということについて考える余裕がなくなり、結果として毎年の上司からの評価を聞くだけになってしまいます。
自分自身、どのような基準において、どこまで「OKな行動」ができているのか、「NGな行動」をとりがちなのかという点を自己点検することで、自分自身ができているところ、できていないところ、磨かなければならないところがはっきりと見えてきます。
また、部下がいる場合は、自分自身をまず自己評価することでそれぞれの基準についての理解が深まるだけでなく、自分の部下を同じ尺度で見た場合にどう見えるか、評価の時にどのようなかたちで、さらに伸ばしたい「強み」や、これから努力して改善したい「弱み」も、よりクリアに見えてきます。
年齢ごとのポイントなども
本書で一番コアな部分は45のコンピンテンシーですが、そのほか、年齢によって変化する評価ポイントなども紹介されています。
たとえば、20代後半になると主体性が問われ、その基準として、「どうしましょう?」ではなく、「こうしたいのですがいいですか?」といえるかどうかが鍵。さらに30代になると、「こうしようぜ」といえるか、つまり自分ひとりの主体性から一歩進んで、集団のなかで主体性をもったリーダーシップがとれるか、という点がポイントに、といった内容です。
繰り返しになりますが、本書はそこまで分厚い本ではないのですが、大切なポイントが多々記載されていて、自分自身の振り返り、部下の客観的評価にあたってとても参考になります。評価に関するテキストとしてぜひ本棚に加えたい一冊です。